1.電子陽電子対平衡を考慮した2温度降積円盤の構造を、軟光子の不飽和コンプトン化もとりいれて計算し、制動放射のみを考えた場合と同様に、エディントン光度の数%より大きい降積率にたいしては定常解が存在しないことを示した。 2.高温降積円盤からの角運動量を持ったwindについて、適切な流線を仮定した場合の構造を求めた。さらに自己相似流について流線もself-consistentに求める計算を遂行中である。また電子、陽電子及び陽子の3流体球対称windの構造について検討を開始した。 3.自己相似を仮定しない一般の2次元windの数値計算コ-ドを準備検討し、第2年度に計算を遂行する予定である。放射流体力学の数値計算コ-ドについては、さまざまな計算方法の可能性とその評価の検討に着手したところであり、第2年次に具体的なコ-ドの開発を行なう予定である。 4.非熱的粒子分布関数に関連する物理過程については、衝撃法による統計加速について2つの問題を研究した。第1に電波銀河のhot spotsにみられるような準相対論的な衝撃波によって最高エネルギ-領域の宇宙線が加速され得ることを論じた。つぎに2つの衝撃波が存在するときには、単一の場合にくらべ加速時間が短縮されることを数値計算によって示した。第2年度にはこのコ-ドに放射冷却を組み込んで計算し、電波銀河の観測等との比較検討を行なう予定である。 5.銀河衛星による活動銀河核のX線スペクトルの観測と関係して、適切な宇宙論的進化を仮定するとX線背景放射が活動銀河の重ね合わせで説明され得ることを示した。
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