1.2温度降積円盤について、軟光子のコンプトン化を考えるモデルでも、電子陽電子対の存在を考慮にいれると定常降積率にはやはり上限値が存在することを示した。これは軟光子の起源がサイクロトロン高調波であっても外部からの熱放射であっても同じである。この上限値以上の降積率に対しても動的なふるまいの考察が必要となるが、これは今後の課題となる。 2.降積円盤からの質量放出の検討を行なった。流線の形状を予め与えた場合には特異点と音速点とが一致し、この点を通る臨界解が円盤風を与えることを示した。次に自己相似の仮定の下で、流線の形状と速度場とを同時に求めた。この場合には特異点と音速点とは一致せず、無限遠まで到達する解は特異点な通らないが、亜音速から起音速に遷移することがわかった。円盤内の密度分布が急傾の場合にはこのような解は存在しない。自己相似でない場合、電子陽電子対を含む場合の検討も着手している。 3.X線背景放出の起源を活動銀河核の重ね合わせで説明するモデルを検討した。背景放射と個々の源のスペクトルの違いから、モデルが成立するためには、個々の源のスペクトルが宇宙論的に進化するか、最近の観測が示唆するように個々の源のスペクトルが高エネルギ-側で吸収構造を示すことが必要であることがわかった。 4.衝撃波による粒子加速について、電波銀河のホットスポットが10^<20>eVにも達する最高エネルギ-宇宙線の起源を説明しうることを論じた。また磁場と衝撃波面とが斜めに交わる斜め衝撃波では粒子の加速効率が100倍近く上昇することをモンテカルロシュミレ-ションで示した。電子成分の加速に対し、活動銀河の観測との比較検討を行うことは今後の課題である。
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