研究課題/領域番号 |
01540223
|
研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
木下 宙 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 教授 (00012857)
|
研究分担者 |
吉川 真 東京大学, 理学部天文学教室, 学振特別研究員 (10212309)
中井 宏 国立天文台, 位置天文天体力学研究系, 助手 (60155653)
吉田 春夫 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (70220663)
谷川 清隆 国立天文台, 理論天文学研究系, 助教授 (80125210)
|
キーワード | 小惑星 / カ-クウッド間隙 / 小惑星の族 / 小惑星の群 / シンプレクティック積分法 / 永年共鳴 / 対称型数値積分法 |
研究概要 |
小惑星の数の分布は軌道長半径について一様ではなく、極端に少ないところがある。ここは小惑星の公転周期が木星の公転周期と簡単な整数比をなしているところ(レゾナンス領域)に対応していて、カ-クウッド間隙と呼ばれている。本研究ではレゾナンス領域の力学的構造を調べ、カオス領域に入った小惑星は離心率が大きくなり、内惑星による重力散乱によって小惑星がレゾナンス領域からなくなってカ-クウッド間隙ができるという力学的シナリオを追求している。この研究には長期にわたる運動を数値積分を用いるシミュレ-ションが必要となり、誤差の少ない数値積分法の研究を本年度も継続して行った。以下に本年度の研究で得られた成果について述べる。 1.本年度は3次元の場合のレゾナンス領域での小惑星の挙動を調べ、各レゾナンスでの特徴的な結果について述べる。 (1)3:1レゾナンスでは昇交点と近日点の動きが簡単な整数比に近い場合には軌道傾斜角が大きく変化することがある。 (2)5:2レゾナンスでは運動がカオス的になる場合が多い。 (3)7:3レゾナンスでは順行軌道から逆行軌道へ移行する場合がある。 (4)2:1レゾナンスでは運動は規則的であり、離心率・軌道傾斜角の変化は大きくない。 2.対称型多段数値積分法を用いると打ち切り誤差による経度の誤差は時間に比例して増加することを理論的に証明し、長期間の軌道シミュレ-ションに有効であることを数値的にも示した。 3.原始惑星との衝突軌道の初期値分布がカオスになっていることを示した。また大多数の初期値に関して原始惑星から遠く隔たったところで、衝突・非衝突の判定ができることも示した。
|