研究課題/領域番号 |
01540224
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天文学
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
池内 了 国立天文台, 理論天文学研究系, 教授 (90025461)
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研究分担者 |
富阪 幸治 新潟大学, 教育学部, 助教授 (70183879)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | クエ-サ-の吸収線 / ライマン・アルファ-の森 / ライマン・リミット系 / 飽和したライマン・アルファ-線 / 冷たい暗黒物質 / ミニ・ハロ- / 銀河形成 / Diffuse UV Flux |
研究概要 |
クエ-サ-の吸収線系の、柱密度分布・数密度変化などの観測デ-タを手掛りにして、宇宙の赤方偏移が0.3から4に至る時期の銀河進化、背景紫外光の強度変化の情報を得ることができた。本研究では、(1)CIVの吸収線、(2)HIの3種(ライマン・アルファ-の森、ライマン・リミット系、飽和したライマン・アルファ-線の吸収線、の2つのカテゴリ-について解析を行い、以下のような成果を得た。 (1)のCIV吸収線は、銀河のハロ-中のガスによる吸収線と考えられ、その数密度変化のデ-タ-を手掛りにして、ハロ-の力学状態・重元素量の増加率・背景紫外光の強度変化を計算した。その結果、ハロ-は急速な膨張状態にあり、重元素量も活発な星生成に伴って急速に増大していること。一方、背景紫外光は一定の強度のまま変化していないことが明らかになった。赤方偏移が2から3の期間の銀河進化は動的で、10KPCを越えるガスハロ-が広がっていたことを示している。また、背景紫外光の強度が変化していないことから、クエ-サ-以外からの寄与がなければならず、若い銀河の大質量星も紫外光源となっている可能性が高い。 (2)のHIの3種の吸収線を、冷たい暗黒物質によって閉じ込められた銀河間の雲(ミニ・ハロ-)の進化状態として統一的に理解できることを明らかにした。この雲は、背景紫外光によってイオン化・加熱されており、その強度変化によって進化する。雲の外線部は、高イオン化されてライマン・アルファ-の森として観測され、中心部は紫外光が届かず低いイオン化状態のため飽和したライマン・アルファ-線吸収として観測されることになる。このミニ・ハロ-の質量の大きいものは収縮して星生成が起こり銀河となり、(1)の吸収線系として観測される。 こうして、クエ-サ-の吸収線系全体を、冷たい暗黒物質が卓越する宇宙で一連のものとして理解できることが明らかとなった。
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