研究概要 |
1.三体力とπNN,ρNN形状因子の研究: 三核子の結合エネルギ-は二体力の他に三体力を考慮すると求まるが,三体力を形成するものとして、π中間子交換の効果のみを考慮するとπNN形状因子の切断卒量Λπは0.7GeVととらなければならない。これに対し,ρ中間子交換の効果まで考慮するとΚρ=6.1のときΛπ=0.8GeV,Λρ=1.3GeVが三核子の結合エネルギ-(8.44MeV)を与えることがわかった。他方ガモフ・テラ-行列要素の実験値は√<3>×(0.961±0.003)であるがΛπ=0.8GeV,Λρ=1.5GeV(Κρ=6.1)ととると計算値は√<3>×0.964となる。このようにして,従来Λπの値は0.7〜0.8GeVと〜1GeVの二種の値が用いられて来たのに対し、決定的な値が得られた。 2.ρ中間子交換三体力の効果を考慮するとyスケ-リングに対する計算値は実験値と一致することが示された。 3.三体力における△の伝搬効果:核子間の運動量移行をg^^→とすると、△の運動エネルギ-は近似的にq^^→^2/2M△とあらわされ,この効果を入れて,△の非静的効果を検討した。Λπ=0.8GeVとして,△が動くとした場合,静止していると仮定した場合に比べトリトンの結合エネルギ-は0.16MeV減少することがわかった。 4.われわれの精密な ^3Heの波動関数のコ-ドを用いて, ^3Hと ^3Heの質量差の実験値764keVに対する理論値として760±14keVが得られた。 5.三体系散乱問題に対し拡張されたリップマンの式を導入してファンデエフ方程式を正しく導びき,従来の考えにおけるいくつかの不十分な点を正した。三体系に対するメラ-の波動行列理論を新に構成し,ファデエフ方程式を導びいた。このようにして,ファデエフ方程式は,リップマンの三つ組の式と関式が無いことが示された。
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