研究概要 |
最近のLEP Iでの実験結果はHiggs粒子の質量の下限が段々大きくなって約60GeV程度になっている。それに伴って、考えなければならないバックグランドの過程の数が増えてきた。昨年度(1990年)は、LEP IIでの下記の(BG)の寄与を調べて高エネルギ-研究所及び基礎物理学研究所の研究会で講演した。 (S):e^-e^+→Z→llH→llbb jets, (1) (BG):e^-e^+→Z,γ→ff→ll+qq jets+X. (2) (ここで、l,b,qはそれぞれレプトン、ビュティ-クオ-ク,クオ-クを意味する。) 以前の議論から、LEP IIではシグナル(S)は(BG)を凌駕していることを我々は知っている(例えば"Proceedings of the 2nd JLC Workshop"を参照).今年度は、LEP IIで重要な寄与をする次のバックグランド(BG2)の過程を計算した。 (BG2)e^-e^+→VZ→Vl l(V=Z,γ) (3) ここで、過程(3)の中の光子を含む過程は終状態のレプトン対の不変質量の測定等によって除去される。(OPAL Colla.との議論)。また過程(2)は、このエネルギ-領域では小さいので、過程(1)及び(3)の終状態のレプトンのエネルギ-分布(dσ/dE_-)を比較することができる。√sの小さい方が、sが大きくなる。例えば、√s=2Mzでは、BGはE_-=Mz/2=45.6GeVのところでピ-クになるのでSとBGの分離が可能になる。√s=2Mzでは、Higgs粒子の質量がM_H<85GeVの場合、E_->70GeVの領域でシグナルの検出が可能であることが結論された。 ◎これらの計算結果は、近々論文にして投稿します。
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