研究概要 |
FNAL E531実験で得られたニュ-トリノ・エマルジョン荷電カレント反応事象における終状態二次粒子[シャワ-粒子n_s,核からの破片であるHeavy Ionized粒子Nh(=n_g+n_b)についての観測解析を行っている。n_sについては完全に,Nhについては全事象の7割が測定処理された。これらのデ-タの信頼性を他グル-プと比較して確立した。ソ連を中心としたFNAL E564はE531に比べ全事象は1割に満たないが,Nhは全て測定されており、ソ連研究者の来日を機に当方と比較討議を行った。彼らは泡箱によるニュ-トリノ反応のトリガ-においてシャワ-粒子の小さい事象についてはきわめて低い検出効率しかなく,n_sのデ-タに大きなバイアスがかかっていることが判明した。唯,BlackとGreyの角分布,前後方放出比についてはほぼ一致した。〈n_b〉,〈n_g〉の差異はソ連側に事象のバイアスがかかっているため起ったものである。彼らの〈n_b〉のW^2依存性の指摘が当方ではなく誤っていることも判明した。 チャ-ム発生事象の〈n_s〉は非チャ-ム発生事象のそれより約1ほど低く,同じエネルギ-領域の陽子・エマルジョン反応の〈n_s〉よりさらに低いことがわかった。一方,両事象間では〈n_g〉と〈n_b〉については差異はないことがわかった。また両事象間でのGrey粒子の角分布も差異はない。Grey粒子の方位角分布を見ると180°附近に増大がありミュ-オンと反対方向に出る傾向を現わす。Grey粒子のエネルギ-分布はハドロン核反応のものと似ており、Power lawに相っていると考えられる。いわゆる,Leading Particle Systemはニュ-トリノ・エマルジョン反応ではGrey粒子放出において主要な役割を演じない。これらのモデルから計算した〈n_g〉は実験値と少し異なってくる。新たな考察が必要である。
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