本年度の研究計画は次の2つに要約される。 1)1次元的に拡がった物体である弦模型のコンパクト化を研究する。 2)弦模型に関する知識と方法を活用し、a)BRS法を用いて拡がりを持った物体の量子化を行う、b)membrane模型のコンパクト化を調べる。 1)と2)の両方に関して研究に進展があり、1)に関する研究成果は論文として発表した。2)に関してはトリエステ国際研究所の矢彦沢茂明氏との共同研究を続行中である。 1)超弦模型は統一理論の有力候補であるが、この模型が正しい理論となり得るためには、4次元時空以外の余分な空間(6次元)のコンパクト化を説明できることが重要な問題である。2次元のコンフォ-マル場の理論がこのコンパクト化を導く有力な方法を与える。そのためには、この代数を拡大することが必要であるが、特にN=2超対称な拡大コンフォ-マル代数を構成することに成功した。 2)membrane(2次元的に拡がった物体)模型の量子化がうまく行くためには、弦理論と同じように高い対称性が必要であると考えられる。少し以前からWeyl不変性を持ったmembrane模型を研究しており、特にその量子化を研究している。非線型な問題なので量子化は難しい問題であるが、古典解のまわりでの量子化は実行できた。現在は、この模型にどのような種類の粒子(スペクトル)が含まれているかを調べており、量子効果の評価も行っている。
|