研究課題/領域番号 |
01540247
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 圭二 大阪大学, 理学部, 教授 (10011545)
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研究分担者 |
窪田 高弘 大阪大学, 理学部, 助手 (80161678)
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キーワード | 絃理論 / 光円錐ゲ-ジ / ロ-レンツ異常項 / モジュライ空間 / ポリヤコフの方法 / 絃理論の対称性 / ワイル不変性 / 一般座標変換不変性 |
研究概要 |
光円錐ケ-ジで絃の場の理論を取り扱うことは、絃の物理的モ-ドだけを取り出して計算するため、直観的理解を助けるだけでなく数学的簡素化も可能で便利である。しかし、ロ-レンツ共変性に関しては自明な処方になっていないため、別な証明が必要である。吉川はこのロ-レンツ共変性を二つの方法で証明した。 その一つは、摂動論による散乱振巾が実際にロ-レンツ不変であることを示したことで、各過程のモジュライ空間の境界でロ-レンツ異常項が相殺していることを確認した。 一方、開絃と閉絃が共存しているとき絃の作用積分はロ-レンツ異常項をもつことが知られているが、経路積分の測度も異常項をもつことを証明し、その両者が相殺して全体でロ-レンツ不変になっていることを示した。摂動論の不変性はこのことに起因することが確かめられた。 窪田は、絃の場の理論のもつ対称性を一般的に検討するために、二つの方法を用いて研究した。第一に、理論の対称性をポリヤコフの方法の枠組の中で定式化するため、その対称性をoffーshell散乱振巾から抽出する一般的方法を開発した。ポリヤコフの方法の中に“絃を生成・消滅させる演算子"という概念を導入し、これらの演算子がワイル不変であることを要求し、絃の運動方程式を導いた。得られた方程式から絃理論の対称性が読み取れる。 第二には、絃理論のもつ対称性をグリ-ン関数の言葉で表現し直すことである。絃の生成・消滅演算子を導入したおかげで、対称性に伴う保存則は一本の方程式にまとめられる。この方程式を分解していくと、例えば一般相対論における一般座標変換不変性に対応する方程式等を得ることが出来るし、絃理論特有の高いスピン状態の粒子に関係した保存則も系統的に導くことができる。
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