研究課題/領域番号 |
01540254
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
元場 俊雄 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (90121863)
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研究分担者 |
糸永 一憲 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (90029546)
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キーワード | ハイパ-原子核 / (π^+、K^+)反応 / (K^-、π^-)反応 / ストレンジネス / π中間子的崩壊 / DWIA / 配位混合 |
研究概要 |
p殻ハイパ-核の生成に関しては、Cohen-Kurath型の信頼できる波動関数を得ていたので、計画どうり、(K^-、π^-)、(π^+、K^+)および(静止K^-、π^-)の各反応について、ハイパ-核生成の反応断面積を計算した。その際、始状態と終状態の中間子波を解き、それらの部分波を結合することにより反応の演算子を構成する厳密な手法を用いた。その計算結果は、従来のアイコナ-ル近似による反応断面積計算値と大きく違わないことが分かった。反跳を正しく取り入れたときの効果は、特定の状態では最大20%程度の増減をもたらす場合もあることが分かった。これまで知られている実験結果と比較すると、(K^-、π^-)反応で置換状態へ至る断面積が数十%大きくなりすぎる点を除けば、一般に実験的傾向をよく説明てきる。(K^-、π^-)反応の励起関数は、散乱角により大きく変動することも明らかになり、強いK^-ビ-ムが実用化されたときには分光学的に大きな意義を持つと期待される。高スピン状態を励起しやすい(π^+、K^+)反応では、他の反応と相補的な励起関数が予測され、今後の分光学上の重要な実験情報が得られる可能性を指摘した。 π中間子的崩壊については、採用したミシガン州立大グル-プの光学ポテンシャル(一般型Eタイプ)に矛盾なく対応した繰り込み効果をも考慮して、p殻、sd殻、およびPbに至る広い範囲のハイパ-核の崩壊確率を理論的に算出した。とくに質量数100〜200の重い系では、π^-に対するク-ロン引力の効果が著しく大きいことが分かり、結果的に0.5%以上程度の分岐比を有することを予測した。p殻とsd殻ハイパ-核のπ中間子的崩壊確率は各々のハイパ-核の殻構造に依存して大きく変動するという興味ある結果を得た。これらの予測が持つ分光学的意義についても理論的提起をし、近未来のハイパ-核実験の多様な可能性を議論した。
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