研究課題/領域番号 |
01540263
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
固体物性
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上田 和夫 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (70114395)
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研究分担者 |
大貫 惇睦 筑波大学, 物質工学係, 助教授 (40118659)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | 近藤効果 / 重い電子系 / RKKY相互作用 / メタ磁性 / ドハ-スファンアルフェン効果 / フェルミ面 / 周期的アンダ-ソン模型 / 近藤格子 |
研究概要 |
セリウム化合物やウラン化合物の重い電子系にはメタ磁性的振舞いを示すものが見られる。この現象は遍歴性を獲得した重い電子が磁場により局在性を回復していく過程と考えられ、その実験・理論の両面からの研究により、重い電子系解明の一助とすることが本研究の目的である。 実験面では、セリウム化合物のメタ磁性を磁化、磁気抵抗、ドハ-スファンアルフェン(dHVA)効果の測定から研究した。まず、斜方晶CeCu_2(ネ-ル点3.4Kの近藤物質)の純良な単結晶を育成して、その物性全般にわたって研究した。この物質のメタ磁性で特徴的なことは、磁化の大きな容易軸方向で転移が起こることで、転移磁場は約20KOeである。このメタ磁性は磁気抵抗にも階段状の急激な減少として観測された。又dHVA効果を通じて反強磁性近藤物質CeBb、CeCu_2、CeIn_3のフェルミ面の研究をした。これらのフェルミ面は、反強磁性状態では小さな磁気ブリルアンゾ-ンにおりたたまれている以上は本質的には対応するランタン化合物のフェルミ面と等しいことがわかった。 CeCu_2の例で磁化容易軸方向でメタ磁性の振舞いが見られることは何らかの理由で消失していた磁気モ-メントが磁場によって回復することの一つの証拠と考えてよい。従って理論的には磁気モ-メントが消失する機構を解明することが最も重要である。こうした観点から周期的アンダ-ソン模型、近藤格子の数値的対角化を実行した。近藤格子に則して結論を要約すれば、伝導電子の密度が小さい時は強磁性的状態であり、伝導帯が半分詰った時は、反強磁性相関の強いシングレットになっている。後者の状態でスピンが消失している主な原因はサイト間の反強磁性相関にあり、それを近藤効果が助けていることが明らかとなった。
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