1. CeRh_3B_2の Ce 3d吸収スペクトルの偏光依存性の測定 CeRh_3B_2は東北大の笠谷らが試料作成、磁気測定を行い、キュリ-温度が115Kであること、また光電子分光の実験からn_f=0.85〜0.90の価数揺動物質であることが確認されている。この物質の3dX線吸収スペクトルの偏光依存性の測定を行うため高エネ研放射光実験施設に共同利用実験として課題申請し採択された。 (課題番号90ー235) この実験のビ-ムタイム配分を平成3年3月12日〜16日の期間で受けたので本実験を行った。現在結果を解析中である。 2. 軟X線分光法により固体の電子状態についての情報を得る時に、最も技術的に問題となるのは、4f希土類元素化合物は蒸着等により薄膜に出来ないことである。従って単結晶バルクについて吸収スペクトルの情報を得るためには透過法での測定は出来ず、全電子収量法を用いることになる。しかし全電子収量法は試料表面から放出される電子を計測するので、表面状態に敏感である。希土類元素化合物は非常に酸化しやすいので、真のスペクトルを得るのがなかなか困難である。そこで吸収確率に比例してX線蛍光収量が得られるのを利用して、全蛍光収量測定法が考えられる。電子に不感でX線のみを計測出来る、比例計数管の使用が考えられるが、1気圧のガスを使用する形成のものは窓からリ-クが多く高真空中では使用不能である。そこで低ガス圧(〜30Torr)で作動する低ガス圧平行電極アバランシェ型軟X線検出器の開発を行った。現在それの試験中である。 3. 電子線エネルギ-損失スペクトロメ-タ-の製作 前年度に引き続き、本年度は超高真空試料槽の製作と、電子統、電子レンズ系の製作を行い、現在その組立て調整中である。
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