バンド端変調半導体は、アモルファス物質の特徴を生かして作られた人工物質で、aーSilーxNx:HでNの組成比xを空間的にほぼ正弦波的に変調させることにより、本研究室で世界で初めて作られた新物質である。この物質では、バンド端がほぼ正弦波的に変調され、その変調振幅の大きい場合には、光励起で生成された電子と正孔は、それぞれ変調ポテンシャルの極小点と極大点近傍にあり、変調方向(z方向)には、近似的に調和振動子ポテンシャルを受けると考えられる。そのために、エネルギ-のz成分は、このポテンシャルによって量子化される。このような量子化準位の位置は、変調周期長に関係し、それによって電子的性質には量子サイズ効果が現れる。光吸収スペクトルから測定される光学ギャップエネルギ-は、伝導帯の第一量子化準位と価電子帯の第一量子化準位のエネルギ-間隔にほぼ対応し、そのために周期長が短くなると光学ギャップエネルギ-は増大する。このような結果が、実際の変調構造膜で観測された。変調構造膜の光誘起吸収スペクトルは、自己束縛正孔中心の準位から価電子帯への正孔励起に対している。価電子帯が量子化される為に、そのようなスペクトルに量子化構造が現れることが期待される。このような量子化構造が周期量100A^^°、67A^^°の変調構造膜で観測された。このような方調構造膜のルミネッセンスも、周期長30A^^°ー290A^^°に対して観測され、バルク膜では観測されないホットルミネッセンスが観測された。このように変調構造膜は、量子化構造の出現や量子サイズ効果によって、量子デバイスの新材料として、応用に対しても期待される物質である。
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