研究課題/領域番号 |
01540268
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
武田 三男 信州大学, 教養部, 助教授 (20115653)
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研究分担者 |
美和 浩 信州大学, 教養部, 教授 (70028108)
笹根 昭伸 信州大学, 理学部, 助教授 (10020679)
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キーワード | 赤外フ-リェ分光 / 遠赤外 / 強誘電体 / 構造相転移 / 相転移機構の移行 / ソフトモ-ド / ラマン散乱 |
研究概要 |
ソフトフォノンが観測され変異型相転移を行なうと考えられてきた強誘電体のなかに規則・不規則型特有の誘電臨界緩和を示すものが見出されてきた。相転移機構が変異型から規則・不規則型へと移行するとき、ソフトフォノンがそのまま過減衰して疑緩和型モ-ドへと移り変わるのか、別の自由度として緩和型モ-ドが存在し、ソフト化という性質のみの移乗が起こっているのかは重要な問題である。本研究はソフトフォノンと緩和型モ-ドの両者を、特別に開発した赤外フ-リェ分光計により同時に測定し、相転移機構の移行を観測しようとするものである。 本年度は本研究費により光学用クライオスタット(クライオミニD105)を購入した。このクライオスタットと自作した透過用高温炉を使用して、強誘電体Li GeO の遠赤外透過スペクトルの温度依存性を測定し、ソフトフォノンの詳細をしらべた。常誘電相において最低振動数を持つB uフォノンが高温側から転移点に近づくにつれてソフト化してゆくことが確認された。この結果はラマン散乱等の測定結果とよい一致を示している。 これらの結果は第7回国際強誘電体会議(Saarbrucken,1989年8月)で発表し、Ferroelectricsに議事録として刊行される予定である。 最近の誘電分散測定の結果から、転移機構の移行は数波数以下の領域で観測されると推測される。フォノンと緩和型モ-ドの両者を同時に観測するには、より低波数での測定が望まれる。干渉計の改良と低波数領域で高性能な検出器を導入することにより、ソフトモ-ドの移行または移乗を直接観測する計画である。
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