研究課題/領域番号 |
01540273
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉田 立 大阪大学低温センター, 助手 (90127316)
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研究分担者 |
伊達 宗行 大阪大学, 理学部, 教授 (80028076)
山岸 昭雄 大阪大学極限物質研究センター, 助教授 (10006273)
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キーワード | 反磁性 / 磁気共鳴 / 高分子 / 生体分子 / 磁場配向 / 異方性帯磁率 |
研究概要 |
どんな物質にも反磁性(diamagnetism)があることは、周知の事実である。しかし高分子や生体分子などでは、その構成要素の配列等により反磁性の大きさに「異方性」が生じる。本研究は、この異方的反磁性によって生まれる反磁性モ-メントにより分子が配向を起こすことをヒントにして、直接に分子の持つ力学的慣性モ-メントをその重心のまわりで振動させてやろうという研究分担者の一人伊達のアイディアの実現を目的とするものである。この振動には、当然共鳴条件が成り立ち、反磁性共鳴(Diamagnetic Resonance)の言葉もここに由来する。2年計画の終年度である今年度は、セットアップの調整が終わり、実際の系で反磁性共鳴を観測することを目的とし、いくつかの系で測定ができた。 本年度の成果として、 1)反磁性帯磁率を高感度で評価できる測定系を開発した。 共鳴周波数を正確に評価するのに、物質の反磁性帯磁率の大きさやその異方性の大きさ等を正確に測定する必要がある。このため、パルス磁場で生成できる大きな磁場勾配を利用して帯磁率を測定する方法を考案し、共鳴の対象とする物質について測定を行った。 2)いくつかの鉱物試料について、反磁性共鳴の観測を行った。 1)により反磁性異方性の大きい物質であることが判った、試料(二硫化モリブデン、石墨など)の微粉末の懸濁液について、反磁性共鳴を観測した。板状試料であるため、水の粘性による減衰項の寄与が大きく、明瞭な共鳴は観測できない条件にあることが判り、いわゆる零磁場共鳴が実現していることが判明した。 しかし、最終目的としている共鳴振動数測定によるフィブリンなどの重合分子の重合度の進行の時間変化の観測に代表されるメゾスコピックな系での測定には、現在の装置ではいま一歩であることが判り、現在進めている装置の改良・試料の均一化の作業により、近い内の測定が可能になる。
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