研究課題/領域番号 |
01540275
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
金森 順治郎 大阪大学, 理学部, 教授 (10028079)
|
研究分担者 |
赤井 久純 奈良県立医科大学, 助教授 (70124873)
菊池 誠 大阪大学, 理学部, 助手 (50195210)
五十嵐 潤一 大阪大学, 理学部, 助手 (20127179)
|
キーワード | 合金の強磁性 / 非金属元素 / 分子動力学法 / Ni化合物 / 金属ー絶縁体転移 / 高温超伝導 / 光電子分光 / 多体効果 |
研究概要 |
1.非金属元素B、C、N、O、F等と遷移元素Fe、Co、Niの合金の強磁性およびアモルファス形成の機構 鉄合金での強磁性増強の機構について理論を提出した。それを数値計算で確かめるためには、格子間位置にある不純物について周囲の母体原子でのポテンシャルをセルフ-コンシステントに決定する計算が必要であって準備中である。アモルファス形成の機構については、遷移元素を含む系で原子の任意の空間的配置での電子構造から力を計算し、分子動力学法に基づいて各種句蔵の形成過程および安定位置を決定するための一般的なプログラムを現在開発中である。 2.化合物でのバンド計算の改良および高温超伝導、金属ー絶縁体転移 多体効果解明のために、系の特徴をシミュレ-トした計算可能なモデルを設定し、厳密な計算で多体系の電子状態を決定することを行った。最初に強いスピン相関をもつ空孔を2個保持するNi原子を有限個含む酸化物(硫化物)のモデルについて、基底状態とそれからの光電子スペクトルを計算し、Niー酸素間の電荷移動エネルギ-を小さくすると、絶縁体状態とNi原子に平均1個の空孔しかない金属状態の間に中間的な状態が存在する可能性を発見した。この中間状態では異なるNi原子間のスピン相関は著しく減少しているが、Ni原子にはなお強いスピン相関をもつ複数の空孔が存在する。この状態は恐らく金属的であって、NiSでの温度上昇あるいは圧力による金属状態への転移はこの中間状態への転移である可能性がある。実験的にはその際光電子放出スペクトルが変化しないという特徴が報告されているが、今回発見した転移でも、電子状態の変化にも関わらずスペクトルが変化しない。またNi化合物の超伝導の可能性はもっと電荷移動エネルギ-の小さい(あるいは逆符号)の系に求めるべきであるように思われる。今後このモデル計算の改良とさらにこれを基礎としたバンド計算の改良を目標とする。
|