研究概要 |
前年度に設計方針が決定された逆光電子分光装置の水晶分光器および電子銃の具体的な作図と一部その製作を行った。 1.逆光電子分光装置の組立,調整 水晶格子面の位置および傾き角の微調用のメカニズムを製作した。設計の基本は、水晶格子面の前後の位置の変化によるブラック角の変位を2′以内におさえることである。このためにマイクロメ-タ-・ヘッドを使用することにより、この問題は解決された。さらに傾き角の微調はゴニオ型の変形を考え,マイクロメ-タ-・ヘッドを2つ使用することにより、角度を秒オ-ダ-で微調できるメカニズムが完成した。放出光の集光を良くするために考えられた湾曲水晶を数枚溶融石英板上に貼りつける作業を行った。この貼りつけは、超高真空中で使用でき,また真空槽が焼き出しを行う必要がありこの温度は200℃になるためにこの仕様に耐えられるものでなければならない。試みとして市販品である接着剤(セロシ-ル)によって貼りつけを行った。充分仕様に耐えるものとはなっておらず,この点の改良が必要である。 電子銃の基本設計は完成し,部品の製作に入ったが,やゝ予定がおくれており,年度内の設計仕様のテストは行われていない。ただし、電子銃の制御用のソフトの作成は基本的なものはすでに終了した。逆光電子分光装置の自動化の基本設計ができあがったところである。 2.光電子分光複合装置の組上げ すでに完成されている光電子分光装置との複合化を目標に、逆光電子分光装置の立上げを急いでいるが,上記(1)のようにやゝ予定が遅れており,複合化は一部を除いて、未完成である。ただし、これら複合化の目途がつき,統合的な逆光電子分光装置の性能テストをまって,本格的にf電子系のフェルミ準位直下の測定が可能になる。
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