中間原子価状態を示すCeNiその参照物質としてのLaNiおよび同じ結晶構造を持ちながらf電子数の異なるPrNi、NdNiについて、そのf電子状態を調べる目的で、高磁場磁気抵抗(HFMR)とドハ-ス・ファンアルフェン効果(dHvA効果)の測定を行った。 昨年度までにLaNiのHFMRとdHvA効果およびCeNiのHFMRの測定をほぼ終了し、今年度は、CeNiのdHvA効果とPrNiのHFMRおよびdHvA効果の測定を行った。 CeNiのdHvA効果では、結晶のb軸方向を中心に4つの振動数ブランチが測定された。このうち振動数が約15MGと40MGの主要フェルミ面によると思われる2つのブランチについて、(1)振動数はLaNiの結果にきわめて近い値を持つが、(2)有効質量はそれぞれ8.9m_010.3m_0でLaNiに比べ約1桁大きいことがわかった。HFMRの結果も含めて考察すると、両者のフェルミ面は大枠で一致しているが、有効質量はCeNiで重くなっていることがわかる。この結果はCeNiの伝導電子とf電子との強い相互作用を示唆している。 PrNi単結晶を回転引き上げ法と固相電解法を用いて作製した。残留抵抗値は0.3-0.7μΩ・cm(残留抵抗比130ー80)であった。測定の結果、(1)b軸方向への開いたフェルミ面が存在し、またb軸方向でのdHvA振動数は約15MGおよび40MGであり、これらの結果はLaNi、CeNiと同様であった。(2)一方LaNi、CeNiでみられたc軸方向への開軌道は存在しないこと、a軸、c軸を中心としたdHvA振動数はLaNiとその大きさにおいて異なっていることがわかった。PrNiはc軸方向にモ-メントを持つ異方性の大きな強磁性体であり、LaNiとのフェルミ面の相違はこの磁気的秩序によるものと考えられる。
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