本研究では、二光子相関によって光子の波束の長さを測ることにより、フェムト秒領域で光パルスのパルス幅や、蛍光の寿命を測定するという、全く新しい原理にもとづく測定法を開発することを目的とした。 1.光の包絡線に対する強度相関の理論 二光子による強度相関測定はHanbury BrownとTwissによって始められて以来、強度測定によっても電場相関に関する量、例えばコヒ-レンス時間が測定できることがわかり、光のコヒ-レンス理論に大いに寄与した。しかし、光が強度変化する場合、その包路線に対する相関についてはあまり注目されて来なかった。 本研究によって、まずこの点に注目して、マイケルソン型干渉計を用いると、時間分解能に制限のない超短時間パルス波形測定ができることが明らかにされた。すなわち、コヒ-レンス時間とパルス波形が区別して測定可能となった。次にこの新原理は、パルス励起された物質から放出される蛍光についても適用できる。これによって超短時間の蛍光寿命が測定できることが明らかになった。 2.レ-ザ-パルスのコヒ-レンス時間とパルス幅の測定の実験 モ-ド同期色素レ-ザ-のパルス幅とコヒ-レンス幅とを測定し、たしかに上記理論が正しいことを検証した。 3.スクイ-ズド光の二光子相関測定 非古典的量子効果を示す二光子相関の研究によく用いられるパラメトリック蛍光は、二光子状態の他に四光子、六光子状態等を含んでいる。その統計分布を測定する実験が初めて試みられた。光子の空間分布の考慮が今後必要であるが、正しい統計性が測定できることが示された。 4.今後の計画としては、まず、蛍光寿命の測定を行い、超高速蛍光寿命測定法として確立すること、紫外、X線領域にも拡張することである。
|