負の誘電異方性をもつネマティック液晶に電圧を加えると、あるしきい値以上の空間的に規則正しい二次元ロ-ル状パタ-ンが顕微鏡下で観測される。これはウイリアムズドメインと呼ばれ、一方向に配列した液晶構成分子の空間的配向変化を反映した巨視的秩序構造で非平衡系において現れる典型的な散逸構造である。我々は最近この静的パタ-ンに印加する電圧を大きくしていくとある値以上でウイリアムズドメインのストライプパタ-ンが振動する、空間的にも時間的にもコヒ-レンスの高い秩序構造を見出した。この構造には二種類の振動様式があり、それぞれ異なった電圧でクリティカルに表れる非常に興味深い現象である。 平成1年度に購入した画像処理装置(FRM1-512:フォトロン)により振動しているパタ-ンのいくつかの点での像強度変動の時系列を長時間調べ、パワ-スペクトルを求めた。外部パラメ-タ(液晶への印加電圧)を変えて詳細にパタ-ンの挙動、すなわち、カオス化における波数構造の遷移過程を調べ興味ある成果を得た。これらの結果を欧文誌に投稿準備中である。
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