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1989 年度 実績報告書

計算機シミュレ-ションによる非平衡状態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 01540305
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

能勢 修一  慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (30172795)

キーワード計算機シミュレ-ション / 分子動力学法 / 非平衡 / クエット流 / 2相平衡 / 糸相
研究概要

互いに逆方向に動く板の間にはさまれた流体(クエット流)の性質を非平衡分子動力学法を用いて調べた。ズレ応力(流れの速度勾配の大きさに比例する)を大きくしていくと、流れに垂直な面内で三角格子を形づくる糸相と呼ばれる新しい流体相が、数年前、シミュレ-ションによって見つけだされた。その後、希薄なコロイド溶液において、同様の現象が起こることが実験により見い出され、注目されている。
この研究は、特に、通常の流体相と糸相が共存する条件での、2相の境界面の向きに注目して行なった。流体の流れの方向をX軸、速度勾配の方向をY軸とすると、我々のものを含め、これまでのすべての計算機シミュレ-ションでは、2相の境界面は、Z軸に垂直であった。何故、境界面がこの特定の向きになるのか、その理由を探った。
このため、境界の向きが異なる配置を用いて、不安定になるかどうかを調べた。2相が共存する状態(A)の粒子配置をX軸のまわりに90度回転させて、シミュレ-ションでは得られない配置(B)をつくった。これより、レナ-ド・ジョ-ンズ系の三重点の温度でシミュレ-ションを行なった。Bの配置は、そのまま保たれ、境界面の向きが変わってA状態になることは観測されなかった。しかし、ポテンシャルエネルギ-の比較を行なうと、A状態の方が低く、A状態の方がより安定と考えられ、A状態のみ出現するという、これまでのシミュレ-ションと矛盾しない結果が得られた。
簡単なモデル的考察では、流体相-糸相の境界での、速度のズレによるエネルギ-増加が、流体相及び糸相でのエネルギ-増加の平均より大とすると説明できるが、境界面での摩擦力の大きさが、このモデルのように本当に大きくなっているか確かめるのが、今後の課題である。

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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