研究課題/領域番号 |
01540307
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石原 武 筑波大学, 物理工学系, 教授 (30111363)
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研究分担者 |
原 俊介 筑波技術短期大学, 教授 (10091919)
戸嶋 信幸 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (10134488)
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キーワード | エキゾチック原子 / ミュ-オン分子 / ポジトロニウム |
研究概要 |
1 ミュ-オン分子(dtμ)の共鳴生成過程はミュ-オン触媒核融合におけるもっとも重要な過程である。これでに、Vinitskiiらによって生成率が計算されているが、その値は実験より予測される値より1桁小さい。これは、初期状態の座標系のとり方に問題があるためと考えられる。我々は、正しい漸近形を保証するためにヤコビ座標を導入し、生成率を計算した。波名関数には昨年度開発したガウス基底による変分波動関数を用いた。その結果、Vinitskiiらの30倍大きい生成率を得、実験値を説明することに成功した。 2 (dtμ)分子のJ=1、v=1の浅い束縛状態のエネルギ-は三体系としては極めて高い精度で計算されているが、実際には[(dtμ)dee]の複合分子中でのエネルギ-が必要である。この多体系でのエネルギ-を孤立系に電子による相互作用を摂動として取り込むことにより、計算を行った。まずは、座標を(dtμ)分子の重心に原点を於いて計算を行い、過去の他の計算値と比較した。この原点依存性を現在継続して研究中であり、興味のある成果が得られるものと期待できる。 3 陽電子が原子より電子を奪い、ポジトロニウムを形成する過程は、実験的にも理論的にも取扱いが難しく、数十eVの中間エネルギ-においても良い一致が得られていない。これに対して、Deb and CrothersはTCDW法を用いて実験値を説明した。しかし、他の理論手法による計算値はすべて実験値よりかなり小さく、なぜTCDW法のみが近い値を与えるか、謎であった。我々は、これに対して、Debらの計算は二次的に導入した近似が影響しており、正しく計算されたTCDW法の断面積は、実験値よりかなり小さいことを見いだした。
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