1.電子状態計算のためのプログラム(Junkerコ-ド)を大型の計算が行えるように書き直した。 2.この研究で対象としている系のうちスレ-タ-基底関数のわかっているものにポテンシャルエネルギ-を求めた。 3.ETFを含んだ動径結合、回転結合を計算するプログラム、Impact Parameter(IPと略)Close-Coupling用プログラムのベクトル化率を70%まで上げることにより必要な計算時間が1/3になった。 4.(C^<5+>+H)系に対し、(1)GVB-CI法を用いて電子状態の計算を行い、ポテンシャルエネルギ-を求めた。(2)ETFを含めた動径、回転結合を求めた。(3)IP Close-Coupling法で衝突エネルギ-0.1〜50keVで遷移確率を求め、電子捕獲断面積を求めた。計算は完了し、現在結果をまとめている。この系に対しては1981年にShipsey等によって小規模の計算が、又1982年にPhaneuf等によって実験が行われているが我々の得た数値はその両者よりやや大きい。この原因は次の検討課題とする。 5.米国Arrgonne研究所に1ヶ月程滞在し、多価イオンによる電子捕獲過程について打合せを行うと同時に、デ-タの収集を行った。 6.(N^<5+>+H)系に対し、上記4の(1)、(2)を行い、そののち(3)低エネルギ-(10meV/amu〜0.5keV/amu)領域では量子力学的Close-Coupling法、中間エネルギ-(0.1〜10keV/amu)領域ではIP Close-Coupling法で電子捕獲断面積を求めた。得られた断面積は衝突エネルギ-0.5keV以上では実験値よりも25%程大きい値を示したが、低エネルギ-ではそれ等と非常によく一致した。我々の計算結果には(1)低衝突エネルギ-領域において軌道効果と見られる幅広いピ-クが、(2)極低エネルギ-では衝突中に作られる準分子によ振動-回転共鳴構造が現われた。これ等の結果は論文として投稿済みである。
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