1.平成2年度開発した3チャンネル用の量子力学に基づくCloseーCouplingプログラムを多チャンネルー30チャンネルの場合まで取り扱えるように書き直した。多チャンネルのプログラムでは行列の次元を任意にする必要がありこのため3チャンネルのプログラムで用いていた特殊な行列間の演算法が使えず同じ計算をやっても約8倍時間が必要であった。 2.(1)(N^<4+>+H)系の一重項、三重項、(2)(N^<5+>+H)系、(3)(C^<5+>+H)系の一重項、三重項、に対し3チャンネル用及び多チャンネル用の量子力学的CloseーCouplingプログラムを用い10^<一2>〜10^2eV/amuで電子捕獲断面績を計算した。その結果、この衝突エネルギ-範囲においてはすべての系が3チャンネルで十分なことがわかった。 3.(C^<4+>、C^<5+>、C^<6+>、N^<5+>、N^<6+>、N^<7+>、O^<6+>、O^<7+>、O^<8+>+H_2)系に対しポテンシャルネルエネルギ-を計算した。この結果からこれらの系では標的分子の異方性が無視できることが予想できたがより厳密には結合項を見積ってみないといけない。そこで(C^<5+>+H_2)系を取り上げ、(1)Generalized Valence Bond法を用いて電子状態の計算を行ない、(2)2電子型ETFを考慮し動径、回転結合を計算し、(3)半古典的CloseーCoupling法を用いて中間エネルギ-領域0.1〜20keV/amuで電子捕獲断面績の計算を行なった。標的分子の異方性が無視できるかどうかは衝突エネルギ-にも強く依存(1〜20keV/amuでは無視できる)することがわかった。 4.JWKB法に基づく微分断面績の計算のためのプログラムを作製した。更にモデル計算として(N^<5+>+H)系に対して計算を行ない良好な結果を得た。
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