研究課題/領域番号 |
01540317
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
海老沢 徹 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (30027453)
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研究分担者 |
阿知波 紀郎 九州大学, 理学部, 助教授 (60027456)
秋吉 恒和 京都大学, 原子炉実験所, 講師 (40027420)
田崎 誠司 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (40197348)
河合 武 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20027436)
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キーワード | 中性子干渉計 / 多層膜中性子ミラ- / 冷中性子 / 磁気多層膜中性子ミラ- / 偏極中性子 |
研究概要 |
平成元年度に開発された多層膜中性子干渉計では、良好なコントラストの干渉パタ-ンは得られなかった。従って、物理実験への応用のためには、コントラストの改善がまず必要である。本年度はそのための検討、試作、試験を繰り返してきた。結果的には良好なコントラストを得るには至らず、物理実験への応用まで進めなかった。しかし、多層膜中性子干渉計の開発及び基礎物理実験へのその応用のためには重要な進展が得られた。以下にその主なものを記す。 (1)良好なコントラストを得るためには干渉計に設置される4枚のミラ-面の位置精度は、0.2ミクロン程度に抑える必要があること。 (2)平成元年度に製作された干渉計では、比較的薄いミラ-基板が用いられたが、そのため65mm直径のミラ-面においておよそ0.75ミクロンから2.0ミクロンの湾曲が避けられず、結果的にコントラストを致命的に悪くした。基板表面において湾曲を0.2ミクロン以内に抑えるためには、6mm以上の厚さのミラ-基板が必要である。 (3)ミラ-面はゲ-ジブロックを介して精密に加工された定盤面に固定される。従来のものでは、ミラ-面位置の精度を定盤面に依存しているので、条件(1)を満たすためには定盤面の平面性を0.2ミクロン以下にしなければならない。しかし、それはきわめて困難である。そこで0.1ミクロンのステップで寸法の異なるゲ-ジブロックを製作しその適当な組合せで補正すれば,4つのミラ-面を固定するゲ-ジブロック面を0.2ミクロン以内の精度でそろえることが可能である。項目(2)と(3)の改良は現在進行中である。 良好なコントラストを得るために必要な以下の事項は本年中に達成された。 (1)恒温槽の温度制御では0.02度以内の精度が達成された。 (2)ミラ-面位置を0.2ミクロンの精度で検査する方法の確立。 そのほか磁気ミラ-による中性子スピン状態の制御方法や多層膜中性子干渉計を用いた基礎物理的実験の検討等において重要な進展が得られた。
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