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1989 年度 実績報告書

御前崎周辺における広域傾斜変化と傾斜計連続観測結果との関係

研究課題

研究課題/領域番号 01540330
研究機関静岡大学

研究代表者

里村 幹夫  静岡大学, 教養部, 助教授 (50126778)

キーワード地殻変動 / 御前崎 / 相良 / 傾斜計 / 活褶曲 / 水準測量 / 傾斜変動 / ブ-ゲ-異常
研究概要

東海地震の予知を目的として、静岡県地震対策課が、1983年5月に静岡県相良町(34°40.5'N、138°11.0'E、105m)に365mの長距離水管傾斜計をN60°W方向に設置した。この傾斜計の記録を解析したところ、大きな年周変化を示していることがわかった。この大部分は降雨による地下水位の変化と温度の影響と考えられる。そこで、牧ノ原アメダスの雨量記録と傾斜計北西端の温度記録をもとに、50日前までの雨量と当日の温度が得られた傾斜記録に影響をおよぼしているとして、それぞれの補正係数を最小二乗法で求めた。この値を用い、傾斜変化から雨量と温度の影響を補正すると、傾斜計設置以来、北西側(内陸側)に約1μrad/yearの速度で傾斜変化していることがわかった。これは、国土地理院によるこの地域の水準測量による広域的な地殻変動とは逆の傾向である。
この原因を調べるため、国土地理院2等水準点BM2591、同009および傾斜計の両端間の水準測量を実施した。その結果、傾斜計とその近くの海岸との間の約4kmでも、傾斜計とは逆の傾斜を示していることがわかった。
また、傾斜計の周辺で詳しい重力測定を実施し、精密なブ-ゲ-異常図を作ったところ、傾斜計の東約1kmのところに、1mgal程度の正の異常が存在することがわかった。このことは、傾斜計の東に向斜軸を持つ局所的な活褶曲が存在することを示唆するものと考えられ、この活褶曲の活動により、傾斜計の周辺のみ広域の地殻変動とは逆の傾向を示している可能性が強い。このように、プレ-ト運動に伴う広域の地殻変動よりも、短波長の運動の方がより早い運動をしているのが事実であれば、測地学のみならず地質学的にも興味深いことである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] M.Satomura,S.Kobayashi,Y.Hasegawa,T.Toyama,T.Damdara,R.Shichi,M.Ino,T.Iwata: "Obsarvation of crustal movements by means of a long baseline water-tube tiltmeter at Sagara,Shizuoka,Japan." Proceeding of the General Meeting of International Assosiation of Geodesy,Edinburgh,Aug,1989.(1990)

  • [文献書誌] 里村幹夫,臼井和平,小林茂樹,井野盛夫,岩田孝仁: "静岡県相良町および静岡市上坂における地殻傾斜連続観測(IV)" 地震予知連絡会会報. 42. 275-278 (1989)

  • [文献書誌] 里村幹夫,臼井和平,井野盛夫,岩田孝仁: "静岡県相良町および静岡県上坂における地殻傾斜連続観測(V)" 地震予知連絡会会報. 43. (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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