研究概要 |
1.本研究の目的:本研究の当初目標は、従来までに名古屋大学で蓄積してきた重力デ-タと研究成果を基礎として、中部・近畿全域にわたる精密な重力異常図を完成し、そのデ-タベ-スを構築し、任意の範囲で精細な重力異常図ができるようにすることであった。これの実現のための具体的作業には、(1)空白地域での測定の補充、(2)全デ-タの規格化と精度向上のための既存デ-タの全面的改定、(3)電算ソフトの開発・改良および収録デ-タ全てのデ-タベ-ス化の3項目の作業である。3年間の本研究期間を通じてこれが完成した。 2.本年度の実績:本年度は最終年度に当たる。前年度までの成果に基づいて各項目毎の目標を完遂するために、(1)測定の補充:前年度分までの達成した4,574点の実績に加え、中央構造線以西の近畿・中国・中国地域において、本研究交付金以上の費目による支出も含めて総計8,800余点の測定を補充し、一方他機関の既存デ-タの新たな収録もして、当初目標を達成した。(2)既存デ-タの全面的改定:a)座標精度が不足するデ-タの改定と、b)ポツダム系重力値の更正の2つの作業があり、この内国土地理院東北地方南部のデ-タについてa)に係わる作業を残すだけで全て完了した。(3)ソフトの開発・改良とデ-タベ-ス化:地形補正 法のヴァ-ジョンアップ、大型サイズ図版出力のソフト開発などを行い、全デ-タファイルのデ-タベ-ス化を完了した。 3.得られた知見と成果:糸静線から東経134°までの中部・近畿地方の全域及び中国・四国の東部の地域で殆ど空白が解消した。この結果、重力以上の手法では知られなかった興味深い構造が各地で見つかった。中央構造線や近畿三角帯、舞鶴帯などの地質構造線、また活断層に沿った重力急変帯の他、駿河湾から四国にかけての弧状急変帯、東西性の線状構造等の大構造が新たに見つかり、文字通り超精密重力異常図と言える図ができた。
|