研究概要 |
1.本研究の目的:本研究の目標は、1978年以来名古屋大学で積み重ねてきた重力の研究成果を基礎として、中部から近畿地方にまたがる地域全域の精密な重力異常図を完成することにあり、さらに任意の範囲で精細な重力異常図が出力できるようにデ-タベ-スを構築することにある。この目標を達成するために必要な作業として(1)空白地域での測定の補充、(2)全デ-タの規格化と精度向上のための既存デ-タの全面的改定、(3)電算ソフトの開発と改良および収録デ-タ全てのデ-タベ-ス化の3項目の作業がある。この目標を本研究で達成した。 2.本研究で達成した成果:3年間で達成した成果は以下の通である。(1)測定の補充:本研究交付金以外の費目による支出も含めて総計8.800余点の測定を補充し、19,555点の独自デ-タを蓄積した。一方他機関の既存デ-タの新たな収録もして、当初目標を達成した。(2)既存デ-タ全面的改定:具体的作業としてa)座標精度が不足するデ-タの改定と、b)ポツダム系重力値の更正の2つがあり、この内国土地理院デ-タについてa)に係わる作業を僅かに残すだけで全て完了した。(3)ソフトの開発・改良とデ-タベ-ス化:地形補正法のヴァ-ジョンアップ、大型サイズ図版出力のソフト開発などを行い、全デ-タファイルのデ-タ化を完了した。 3.得られた成果:本研究を通じて、東は糸静線から西は東経132°に至る中部・近畿地方の全域と、さらに中国・四国の東部を含む広域の範囲で殆ど重力の測定空白域が解消した。この結果、従来知られなかった興味深い構造が、各地で重力によって始めて描き出された。中央構造線や近畿三角帯、舞鶴帯などの地質構造線の他、活断層に沿った顕著な重力急変帯や、駿河湾から四国にかけての弧状急変帯、東西性の線状構造等の大構造を新たに見つけた。これらの図は文字通り超精密重力異常図と言えるものである。
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