研究概要 |
リモ-トセンシング装置の1つであるドップラ-ソ-ダを用い,1989年4月29日ー1990年12月21日までの約20ヶ月に及ぶ長期観測から,主に土佐湾から侵入する海風の進入時刻の季節変化を求めた。平均化時間は10分,5分或いは1分で,雷雨などの特に厳しい天候条件を除けば,天気にかかわらず実施した。海風の進入は北寄りの陸風から南風に風向がシフトすることで検知できるが,このような風向変化だけで判断するのでなく,ソ-ダで得られた風速の鉛直成分,東西成分そして南北成分の高度ー時間変化図をも利用して,できるだけ客観的に評価することを試みた。取得されたデ-タ数は,高度60mでは148日分,高度120mでは87日分であり,シンプレックス法を用いた解析より海風の進入時刻Tpは, Tp=1035(JST)+80(min)COS{2π(Dー4)/365}±60(min) 〔Z=60m〕但しDは1月1日からの日数を示す。と求まった。因みに海風前線の通過時間はTpのような顕著な季節変化を示さなかった。ところでソ-ダによるこのような長期にわたる海風観測は,他の地方では余り行なわれていないようである。将来,高知のみの一地点に限らず,全国規模の海風の進入時刻を知る上での一助となればと願っている。 観測期間中,海風の進入を捕促したファクシミル画像が得られた。詳細に調べるとサ-マルプル-ムが断続的に上昇しているところに,海風の進入によって,さらに熱対流が促進され活発化されているのが認められた。
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