• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1989 年度 実績報告書

不安定アニオン種の溶媒和構造に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 01540353
研究機関北海道大学

研究代表者

市川 恒樹  北海道大学, 工学部, 講師 (10001942)

キーワードアニオンラジカル / 水素結合 / 電荷移動吸収帯 / 芳香族ケトン / 電子構造 / 電子スペクトル
研究概要

有機アニオンラジカルの溶媒和構造を知るため、プロトン性溶媒であるエタノ-ルと、非プロトン性溶媒である2-メチルテトラヒドロフラン(MTHF)混合溶媒での芳香族ケチルアニオンラジカルの溶媒和構造を電子λピンエコ-法で、電子構造を光吸収スペクトルで調べた。その結果以下のことが判明した。
1)非プロトン性溶媒中での溶媒とアニオンラジカルの相互作用は弱いが、プロトン性溶媒中ではアニオンラジカルのカルボニル基酸素上のPz軌道を通して溶媒と新たな水素結合を形成する。水素結合するアルコ-ル分子の数は最大2個である。
2)水素結合形成によってカルボニル基上に負電荷がある電子構造が安定化する。このため基底状態では負電荷がよりカルボニル基に移った状態、励起状態ではこれがよりベンゼン環側に移った状態に変化する。また基底状態が安定かするのに対して励起状態は不安定化する。よってカルボニル基からベンゼン環への電子移動に対応する可視吸収スペクトルはブル-シフトする。水素結合形成により、負電荷がカルボニル基側にある状態とベンゼン環側にある状態との混じり合いは、基底状態、励起状態共に少なくなるから、スペクトル強度も減少する。
以上、プロトン性溶媒中での芳香族ケチルアニオンラジカルの溶媒和による吸収スペクトルの変化は、溶媒との双極子相互作用に基づくものではなく、溶媒分子との分子軌道的相互作用を介した電子構造の変化によるものであることが判明した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Tsuneki Ichikawa: "Effect of Hydrogen Bonding on the Electronic Spectra of Aromatic Kety Anions." Bull.Chem.Soc.Jpn.

URL: 

公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi