研究概要 |
平成1〜2年度の2年間にわたって行われた本研究は当初の計画が順調に進み、主要な部分は第1年次に実施されたので、第2年次では実験結果を練り上げることが中心となった。 第1年次で得た結果では、(a)ポジトロニウム形成過程をスパ-モデルによって解析することの妥当性を再確認しただけでなく、(b)新しいポジトロニウム形成過程のモデル(ポジトロニウムは過剰電子や捕捉された電子だけを前駆体として生成するのではなく、励起された電子もポジトロニウムの前駆体となる)を提起するまでに至った。(a)に関連する部分は4つの論文にまとめられ、Int.田J. Radiation Physics and Chemistry誌に、(b)に関連する部分は、1つの論文として J. Chem. Phys.誌にいずれも第2年次中に発表された。 これらの成果は新しい視点を提起するものであったが、新しいモデルがこれまでのモデルに単に付け加わっただけのものなのか、または新しいモデルこそ他にとって代わるベきなのか、が次の問題となった。このことについては、実験事実を持って考察するだけの余裕が研究費面で無かったので、以後の検討に委ねることとし、多少の考察を行った論文を書いた(Hanbook of Hot Atom Chemistry , ed. by T. Matsuura, Kodansha Scientifics)。 以上のように、本研究課題は一般研究Cとしては十分すぎる成果を上げて終了したことになるが、引き続きこの問題を深めるためには新たな予算を要求して行いたい。
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