1.実験的研究 (1)200MPaまでのUVー可視の光吸収実験の可能な装置を組み立てた。アルゴンの圧縮には油圧式コンプレッサ-(HydroーPac Cー30ー0.50ー2CX)を用いた。 (2)アルゴン中での(1)βージケトン類のケトーエノ-ル互変異性平衡反応、(2)2ーメチルー2ーニトロソプロパンの二量化平衡反応について実験的検討を加えた。特にアセト酢酸エチルのケトーエノ-ル互変異性平衡の研究では、アルゴンととともに二酸化炭素、Rー23を溶媒としても実験を行ない、(1)溶媒による差異は低密度側で大きく、(2)アルゴンは後二者とは逆の溶媒効果を示す、ことが明らかになった。中高密度側の挙動を理解するにはより進んだ研究に持つところが大きいが、低密度側の振舞いは溶質ー溶媒の分子間力の差異として解釈された。 2.理論的研究 (1)一次元流体をモデル系とする化学反応の研究:一次元最近接相互作用流体モデルで、現実系の二量化平衡定数の振舞いをおおまかには再現できることが明らかになった。 (2)一次元流体の物性:特に流体の負の膨張率について理解を深めることができた。流体の負の膨張率が分子間の柔らかい斥力的相互作用に起因することが明らかになった。 (3)積分方程式に基づく中密度領域の化学反応の研究:レナ-ドージョ-ンズ相互作用からなる単純な三次元系について、中密度領域に注目して積分方程式に基づく計算を行なった。その結果こうした単純な系でも、与えるパラメ-タによって多種多様の振舞いを示すことが明らかになった。
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