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1989 年度 実績報告書

光電子放射分光法による溶存化学種の外部イオン化電位の測定

研究課題

研究課題/領域番号 01540399
研究機関大阪大学

研究代表者

渡辺 巌  大阪大学, 理学部, 助教授 (50028239)

研究分担者 文殊四郎 秀昭  大阪大学, 理学部, 助手 (80191071)
キーワード光電子放射分光法 / 外部イオン化電位 / 溶媒効果 / フェノ-ル誘導体 / 水素結合
研究概要

分子イオンから一個の電子を取り去り真空中の無限遠にまで離すのに要するエネルギ-はIpとして測定され、この値はこれらの化学種の反応性を知る最も重要な物性値の一つである。この値は気体分子についてはかなり知られているが溶液中の化学種については測定手段がないため知られていなかった。本研究では新しく溶液用の光電子放射分光計を開発し、種々の溶存化学種についてその外部イオン化電位(Et)の測定を行った。本年度は主にフェノ-ル誘導体の水溶液およびアセトニトリル溶液について測定を行い次の様な結果を得た。
1.フェノ-ル誘導体のHOMO(分子軌道計算による)エネルギ-とアセトニトリルを溶媒とした時のEtの実測値とは直線的な関係にあった。この実験で測定した分子の多くのものについてガス分子のIpが知られていない事を考えると、本研究法を用いるならば、昇華できないためにIpの測定が不可能な分子についても溶液とすることでそのIpを知ることが可能となる事を示している。
2.14種類のフェノ-ル誘導体について測定を行った所、分子によってアセトニトリル中でのEtと水中でのそれとの差がずいぶん異る事を見出した。つまり溶媒を変えると同一分子でもEtが異り、この溶媒効果はフェノ-ルに導入する置換基によって異なる。水を溶媒とすると大きくEtが減少するものはpKa値が小さく、この事からフェノ-ルの水酸基が溶媒と強く水素結合をするとEtが減少するものと考えられる。この事は水分子を一個水素結合させたモデル分子について分子軌道計算を行い、理論的に予想されるものである事を確認した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] Iwao Watanabe: "Electronic States of Ions and Molecules in Solution Studied by Photoelectron Emission Spectroscopy,in:“Structure and Dynamics in Solution",ed.by H.Yamatera and H.Ohtaki." Elsevier Science Publishers, (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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