研究概要 |
3-アシル-8H-3-アザヘプタレン-8-オン(1__-)の構造、立体配座および3-アゾニアヘプタレン誘導体4'__-の性質に関する知見を得るべく、それらの分光学的性質を検討した。1__-のNMRスペクトルにおける環水素間、環炭素間の結合定数は、トロポン、場体アゼピンの相当する水素間、炭素間の結合定数に近い値を示し、1__-がほぼ平面のトロポン環にボ-ト型配座アゼピン環が縮環した構造を有していることを示唆している。1__-にはアゼピン環窒素とアシル基CO炭素間の部分二重結合性に由来するアシル基の束縛回転[1__-【double half arrows】1__-′が見い出だされ、温度依存NMRスペクトルよりアシル基回転の活性化パラメ-タ-、1a__-:ΔG【thermodynamics】=14.4±0.1kcal/mol,ΔS【thermodynamics】=-0.80±0.4 e.u.,1b__-:15.4±0.1kcal/mol,ΔS【thermodynamics】=-1.1±0.4 e.u.(25℃)が得られた。1a__-のΔG【thermodynamics】は相当する母体アゼピン2a__-のΔG【thermodynamics】=13.3kcal/molより1kcal/mol程度小さい。芳香環のアゼピン環への縮環効果をN-CO結合の部分二重結合性より、より詳細に検討するため2b__-およびベンゾアゼピン3a__-、3b__-合成し、それらの熱力学的デ-タ-を得るべく、温度依存NMRスペクトルの測定を行っている。1a__-のプロトン付加体4__-のNMRにおける環水素の化学シフト値は、アゼピン環よりトロピリウムイオン環への分子内電荷移動を示す3-アゾニヤヘプタレン-8-オ-ル4′__-が、4__-に寄与していることを示している。 3-アザヘプタレン合成の第一段階として、1a__-よりNaBH_4,CeCl_3還元によるジヒドロアザヘプタレン5__-への高収率変換反応を検討している。
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