数種の紅藻および褐藻のメタノ-ル抽出物について、緑藻マキヒトエグサの継代無菌培養株を用いた生物試験法によって探索した結果、葉状形態形成活性を有する物質は酸性の化合物であることが明らかとなった。これらの海藻が代謝している形態形成活性物質が同じ化合物なのか類似の化合物なのかについては現在検討中である。 着性植物、寄生植物の付着が非常に少ない紅藻のアカバ(Neodilseayendoana)を大量に採集し、メタノ-ル抽出物について、各種クロマトグラフィ-(シリカゲル・イオン交換・高速液体など)によって得られた分画を生物試験に付した。アカバから得られた緑藻マキヒトエグサの葉状形成誘導・維持活性物質は極めて不安定なため、生物試験の際の無菌化処理の方法などかなり再検討が必要であった。 スクリ-ニングの結果、形態形成活性を有する分画が複数存在することが判明した。これらの分画を更に高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)で分離、精製を行なった。 二つの活性分画から主成分として得られたHPLC上単一のピ-クを示す2種の化合物は、生物試験の結果不活性であった。この2種の化合物が活性発現に全く関係ないのかどうかについては現在検討中である。 更に、別な活性分画からHPLC上単一のピ-クを示す化合物が得られており現在生物試験を行なっている。 活性物質は、微量でさらに極めて不安定であるため単離に手間取っているが上記の化合物が生物試験の結果活性を示した時には、スペクトル分析が可能な量は精製できそうなので、その構造についての知見がある程度得られるものと期待している。
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