ベンジル位に硫黄系脱離基を有するO-アルキルフェノ-ルを前駆物質とし、熱反応または触媒反応により生成するジエン・親ジエン系の分子内反応によるカンナビノイド系中枢神経作用物質の合成について検討した。オリベト-ルモノアセタ-トとイソペンテニルイソプロピルスルフィドを、塩化スルフリルとトリエチルアミンの反応剤を用いて縮合させると、2-(1-イソプロピルチオイソペンテニル)オリベト-ル3-アセタ-トとその位置異性体(6-アルキル体)がほぼ1:1の比で生成した。前者を純粋に単離した後、アクリル酸エステルとし、酸化、熱脱離、分子内環化を行なわせるとシス-ジベンゾピラン-6-オン体が得られた。これをジメチル化し、再閉環させることにより、シス-Δ^9-テトラヒドロカンナビノ-ルを合成することができた。 一方トリベト-ルモノアセタ-トとゲラニルイソプロピルスルフィドとを上記と同様の方法によって縮合させ、2-ゲラニルオリベト-ル誘導体を合成し、これに三フッ化ホウ素エ-テル錯体を作用させるとO-キノンメチド中間体を経由して分子内環化反応が進行し、Δ^9-テトラヒドロカンナビノ-ルがトランス:シス=1:1の混合物として得られた。また、オリベト-ルとジシトロネリルスルフィドとを同様の方法で縮合させ、ルイス酸触媒を作用させると、トランス-ヘキサヒドロカンナビノ-ルを得ることができた。さらに、シトロネリル基の3位メチル基をアセトキシル基で置き換えた化合物を上と同様の方法で合成し、酸化銀を作用させて環化させると、トランス-9-ノル-9-アセトキシヘキサヒドロカンナビノ-ルを得ることができた。これを酸化すればナビロン型化合物を合成することが可能と思われ、さらに検討を進める。 以上のように新しい方法による分子内環化反応によってしゅじゅの生理活性カンナビノイドの合成に成功した。
|