研究概要 |
1.膜界面で中性分子であるカテコ-ル類とホスト-ゲスト錯体を形成しうる脂溶性大環状ポリアミン1a,bを感応素子として、ポリ塩化ビニル支持液模型センサ-を作製し、種々のカテコ-ル関連化合物に対する電位応答を、それらのゲストがバルク水相中でほとんど電荷を持たない中性型をして存在するpH条件下で測定した。 2.その結果、(i)電位応答のためにはOH基が必要であり、(ii)2つのOH基が隣り合わせに存在するカテコ-ル構造が強い電位応答のために有利であり、(iii)ゲストの疎水性が高いほど電位応答が強いことが見出された。それにより、電荷を持たない中性分子に対する電位応答のメカニズムとして、電極膜界面でのホスト-ゲスト錯体形成に伴う水相へのプロトン放出の可能性が示された。現在FTIR-ATR法による膜界面の直接観測により、プロトン放出メカニズムの直接的証明を試みている。 3.膜界面でゲストを取り込みうる疎水性内孔を持つシクロデキストリンの両親媒性誘導体2__〜の合成を行なった。液膜型センサ-としては特徴的な電位応答選択性は観測されなかったが、LB膜として下地電極上に累積した場合、アニオン性ゲストとの選択的なホスト-ゲスト錯体形成に伴うマ-カ-イオンの膜透過性変化が、サイクリックボルタンメトリ-により観測された。現在中性ゲストに関して同様な応答性を調べている。 4.疎水性内孔を持つ純合性ホストであるシクロファンの両親媒性誘導体3__〜の合成に着手し、環状合成中間体の構造確認まで行なった。
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