研究課題/領域番号 |
01540476
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
牧野 圭祐 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50159141)
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研究分担者 |
村上 章 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (60210001)
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キーワード | フリ-ラジカル / 脂質過酸化反応 / 低密度リポタンパク質 / スピントラッピング / 5.5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシド / 電子スピン共鳴法 |
研究概要 |
生体内フリ-ラジカル反応によって誘起される脂質過酸化を計測することを目的として、低密度リポタンパク質(LDL)の過酸化によって生成する数倍体検出システムを開発し、さらには生体試料中のフリ-ラジカル(活性酸素ラジカル)を直接検出するために、5.5-ジメチル-1-ピロリン-N-オキシド(DMPO)のニトロキシドラジカル生成機構の詳細な解析を行った。 前者については、サイズ排除クロマトグラフィ-によってヒト血清中のリポタンパク質を分離した後、これらのカラム後方に接続したバイオリアクタ-でこれを分解し、生成する過酸化水素をオンラインで発色して検出することによって目的を達成した。バイオリアクタ-は、ホスホリパ-ゼDとコリンオキシダ-ゼをグルタルアルデヒドニ量体によってサイズ排除クロマトグラフィ-用カラム充填剤に同時固定化することで調製した。結果、LDL数倍体がLDLより前に溶出することを明らかにした。 後者については、特に2価あるいは3価の鉄イオンが存在する場合にDMPOから生成する電子スピン共鳴法で検出可能なニトロキシドラジカルの生成反応についての詳細な検討を行った。この結果、DMPOをトラップ剤として用いて生体試料から得られるESRシグナルのうちのいくつかは、DMPOと3価の鉄の錯体形成を経由してDMPOから生成する酸化物の更に酸化された誘導体によるものであること、またヒドロキシルラジカルとDMPOとの反応で生成されると今日まで信じられてきたDMPO-OHアダクトが、上記の錯体形成したDMPOへの水の求核付加反応によっても生成することを明らかにし、生体試料中のフリ-ラジカル検出へのDMPOをトラップ剤としたスピントラッピングの使用の基礎を確立した。
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