研究概要 |
全希ガスをいれた水素とメタンの混合ガス中でダイヤモンドを気相成長させ、希ガス相互の元素比がどのように変わるか、果してイオン化エネルギ-と関係があるのかを調べた。それによれば、重い希ガス(アルゴン,クリプトン、キセノン)については、きれいにイオン化エネルギ-と相関する結果が得られている。また、この関係は、プラズマ中の温度から計算した各希ガスのイオン化の割合と良くあっている。このことから、プラズマ中で希ガスイオンがそのイオン化の割合に応じてダイヤモンドに取り込まれたことが示唆される。すなわち、ミクロなスケ-ルでの衝撃現象による希ガスの取り込みが行われていると解釈できる。しかし、軽い希ガス(ヘリウム、ネオン)については、ダイヤモンド中の希ガス量とイオン化エネルギ-との関係はなかった。軽い希ガスがなぜイオン化エネルギ-と相関がないのかはまだうまく説明できないが、重い希ガスの場合とは異なった別の取り込み機構(溶解など)が働いたのかも知れないと考えている。この他、熱フィラメント法によるダイヤモンドの気相合成を試みた。この方法により作成した気相合成ダイヤモンドには希ガスが全く入っていなかった。気相合成の際のガスのイオン化の仕方によりダイヤモンドへの希ガスの入り方が異なるという面白い結果が得られたわけで、グロ-放電によるダイヤモンド合成を試みて、プラズマ温度の相違による影響を調べている。 一方、気相合成ダイヤモンドとの比較の意味に於て衝撃合成ダイヤモンド中の希ガスについても詳しく調べた。民間企業でつくられたダイヤモンド試料を用いて、ダイヤモンド中の希ガスの拡散係数などを求めた。また、実際に衝撃合成ダイヤモンドを合成して希ガス取り込みに対する温度・衝撃圧の効果などを調べている。
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