研究概要 |
種々のαーヒドロオキシオキシム化合物を合成し,金属との反応性をスポットテストにより試験した。合成したオキシム化合物の中で,2ーヒドロオキシフェニルチルケトンオキシム(HPEKO)がニッケル,銅,及びパラジウムに対し高い反応性を示した。また,比較のため,市販品クプロンを用い,溶媒抽出試薬,トリ酢酸セルロ-ス粉体に固定化した吸着剤としての用途につき検討した。(I)溶媒抽出:合成した一連のオキシム化合物によるニッケルと銅の抽出能につき検討した結果,ニッケルと銅を選択的に抽出でき,銅(I),(II)と鉄,ニッケル,コバルトの相互分離が可能であることが判った。(II)オキシム/トリ酢酸セルロ-ス粉体による銅の分離濃縮:一連のオキシム化合物をトリ酢酸セルロ-スに固定化した粉体の中でHPEKO/トリ酢酸セルロ-ス(HPEKO/TACと略)が高い吸着性を示したので,このHPEKO/TAC粉体による銅の濃縮法に関しバッチ法とカラム法で検討した。吸着時間は30分以上,吸着剤からの銅イオンの脱着は0.25M塩酸容液で95%以上定量的に回収できることが判った。また,海水中の銅の分離濃縮につきバツチ法とカラム法で試験した結果,2PPbの値を得た。カラム法による銅と鉄,ニッケルの分離につき検討し,定量的に分離ができることもわかった。次にHPEKOITAC粉体への銅イオンの吸着ナカニズムにつき一定容積系で速度論的検討を行なった。その結果,吸着の線速段階は粒径内拡散に支配されていることがわかった。また,イオン強度が0.1の場合,拡散係数は〓10^<ー9>cm^2.Sec^<ー1>であったが,イオン強度が0.5になると一桁大きくなることがわかった。
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