研究概要 |
1.1ーアルキルー4,4'ービピリジニウムを含む種々の金属錯体およびクラウンエ-テル類の合成ー1ーメチルー4,4'ビピリジニウム(〔Meーbpy〕^+)を配位したRu(III)錯体(IRu(NH_3)_5(Meーbpy)〕(PF_6)_2・SO_4・2H_2O)およびCo(III)錯体(〔Coー(hedtra)(Meーbpy)〕ClO_4;hedtra=NーヒドロキシエチルーN,N'ー三酢酸イオン)を合成した。また、〔Meーbpy〕^+がアルキル鎖で結合したCu(II)シック塩基錯体(n=3,4)および12ークラウンー4を合成した。 【chemical formula】 【chemical formula】 2.上記化合物の酸化還元反応の平衡論的測定ー本研究経費により購入した交直サイクリックポ-ラログラフを用い、上記化合物のサイクリックボルタンメトリ-を行い、ビオロ-ゲン類の存在の確認、金属錯体部分の同定を行うことができた。また、クラウン化合物ではLi^+イオンがビオロ-ゲンとクラウンとの分子内会合を阻止し、ビオロ-ゲンの酸化還元電位に影響を与えるという興味深い結果を得た。 3.電子移動反応速度の測定ービオロ-ゲンが結合したCu(II)錯体のアセトニトリル中におけるビオロ-ゲンラジカルからCu(II)への電子移動反応をパルスラジオリシス法を用いて測定した。その結果、分子内電子移動と同時に分子間電子移動とが併発し、アルキル鎖長の影響はn=3,4ではみられないことがわかった。また、ビオロ-ゲンラジカルにより還元されるのはCu(II)O_2I_2部分であることがわかった。 本研究課題により電子運搬機能を持つビオロ-ゲンを含む金属錯体の設計の手がかりとその機能評価に関する基本的知見が得られた。
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