研究概要 |
近年私達は積層立方体型酸化物クラスタ-[(RhCp^*)_4V_6O_<19>]1や[RhCp^*MoO_4]_42の合成ならびにその化学的性質を明らかにしてきた。1や2のRhーO結合は比較的切れやすく、Rh金属への基質の配位が容易に起る。しかもその近傍にMo^<IV>やV^VのMーOやM=O基が存在する。本研究室では、これらのクラスタ-を用いて、(i)式に示すシクロヘキセンの触媒的酸化反応を行なった。1を触媒とした場合は、2ーシクロヘキセニルtーブチルパ-オキサイドAが主生成物として得られる(図1)。一方、2を用いた場合は選択的にシクロヘキセンが生成し、選択性、触媒効率とも非常にくずれている(図2)。しかし反応系中の実際の活性種は2でなく、Mo_6O_<19>骨格をもつもので、活性種を系中より単離し、アセトニトリル中で再結晶して得られた化合物の構造を図3に示した。AやBの生成はラジカル経由であること、そしてソフトなRh、ハ-ドなV,Mo金属を同時に含む本クラスタ-触媒は、それらの共同効果により、単独の金属イオンでは見られなかった触媒能を持つことを明らかにした。
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