新しい染色体同定法の開発とアフリカツメガエルの染色体地図の作成

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01540529
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 近藤 壽彦 群馬大学, 内分泌研究所, 助手 (10162108)
• 研究分担者: 吉里 勝利 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20095516)
• キーワード: 染色体 / 染色体地図 / 遺伝子マッピング / アフリカツメガエル / 性決定機構 / 変態

研究概要

DNAを高性能に分離・分析することの可能なHPLCシステムを確立した(投稿中)。アフリカツメガエルの雌雄の成蛙のそれぞれからDNAを調製し、各種の制限酵素で切断し、我々の開発した高感度検出用のM13cmファ-ジおよびpUCcmプラスミドを用いて種々のライブラリ-を作製した。これらのライブラリ-から性特異的なDNAや染色体特異的DNAを分離するために、固相化プロ-ブを用いて効率良くクロ-ニングする方法を新たに開発し、目下、これらのクロ-ニングを行っている。この方法は、核酸固相化アンカ-と名付けたDNA断片を用いて、種々のプロ-ブDNAを酵素反応によって固相化するもので、如何なる核酸でも容易に固相化できる。本法の特許申請や学会発表は既に行い、論文誌上での発表の準備が進んでいる。固相化プロ-ブを用いれば、mRNAの固相分離に引続き、固相上で直接cDNAライブラリ-を作ることが可能なため、極微量の組織からでもcDNAライブラリ-が作製できる。また、これまで多大の時間や労力を要したクロ-ニング操作が極めて迅速かつ確実なものとなる。したがって、染色体地図を作製するための多種のマ-カ-遺伝子を分離・同定するための強力な手段を手に入れたことになる。現在、アンカ-を介して固相化した染色体特異的なDNAを使って、染色体DNAを分離する方法も検討中である。一方、カエルの変態ホルモンとして知られている甲状腺ホルモンがカエル尾部に局在する表皮細胞のケラチン化や増殖阻害の現象を誘導することを見出し(既に発表)、本研究の変態およびプログラムド・セル・デスに関する遺伝子群の発現遺伝子地図を作成するための材料として最適であることが確認された。現在、種々の変態マ-カ-を得るため、変態前後のcDNAライブラリ-および、そのサブトラクション・ライブラリ-を作製中である。

研究成果

• [文献書誌] Nishikawa,A.: "Cell death in the anuran tadpoletail:Thyroid hormone induces keratinization and tail-specific gnowth inhibition of epidermal cells" Developmental Biology. 131. 337-344 (1989)
• [文献書誌] 吉里勝利: "両生類幼生尾部の選択的組織分解の機構--1つの仮説--" 日本発生生物学会第22回大会発表要旨集. 150 (1989)
• [文献書誌] 近藤壽彦: "新規なDNA結合担体の開発と固相クロ-ニング法" 生化学. 61. 1128 (1989)
• [文献書誌] Ohmiya,Y.: "Location of dehydroalanine residues in the amino acid sequence of bovine thynoglobulin:Identifioation of“donor"tyrosine sites for honmonogenesis in thynoglo bulin." The Journal of Biological Chemistry. (1990)
• [文献書誌] Ohmiya,Y.: "Separation of DNA fragments by High-resdution Ion-exchange chromatography on a non-porous QA column." Analytical Biochemistry.
• [文献書誌] Kondo,T.: "Enzymatic immobilization of DNA and high performance solid-phase cloning" Science または Nucleic Acid Research.
• [文献書誌] Yoshizato,K.: "International Review of Cytology,vol 119" Academic Press, (1990)
• [文献書誌] 吉里勝利: "変態の細胞生物学" 東京大学出版会, 132 (1990)