研究概要 |
1.蛍光検出による高感度マッピング法がほゞ完成(特許申請予定)し、染色体特異的なマ-カ-遺伝子のクロ-ニングを行なっている。2.遺伝子のクロ-ニング,増幅,塩基配列の決定などに不可欠な、高純度のプラスミドDNAを迅速に分離する新方法を開発した(文献5,6)。この方法と前年度に開発したHPLCシステム(文献1,4)との組み合わせで,煩雑な操作手順と多大の時間を要した遺伝子操作技術が大幅に改善された。3.前年度に開発した核酸固相化アンカ-(特許申請中)を用いる高能率クロ-ニング法を開発し、種々のホルモン遺伝子や変態に関連した遺伝子のクロ-ニングに応用している(投稿準備中)。4.核酸固相化アンカ-を用いるハイブリッド分離法を開発し、アフリカツメガエルの雌にのみ存在する遺伝子のクロ-ニングを行なった(投稿準備中)。この遺伝子の一部をプロ-ブとして性染色体を決定する予定であるが、この遺伝子が性決定機構に直接関与するかどうかも併せて検討している。5.カエルの変態に重要な役割を果たすことが知られているコラゲナ-ゼのcDNAを、常法に従ってクロ-ニングした(投稿準備中)。6.上記の研究項目に関連し,再構成した皮膚モデル実験系を用いて,コラゲナ-ゼの産生量を調節する表皮細胞因子を発見した(文献3)。また,カエルの変態ホルモンである甲状腺ホルモンが前駆体タンパク質(チログロブリン)内において如何なる部位で合成されるかを、独自に開発したアフィニティ-分離法により解明した(文献2)。 以上のように、アフリカツメガエルの染色体の同定および染色体地図を作成するための基礎は概ね確立された。今後,本研究により開発された種々の手法を駆使し,我々が新たにクロ-ニングした遺伝子を含め,できるだけ多数の遺伝子に基ずく,詳細な染色体地図の作成を行ないたい。
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