研究課題/領域番号 |
01540538
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
東 正剛 北海道大学, 大学院環境科学研究科, 助手 (90133777)
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研究分担者 |
佐藤 冬樹 北海道大学, 農学部, 助手
大原 雅 北海道大学, 農学部, 助手 (90194274)
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キーワード | 種子分散 / アリ散布 / 進化 / 適応 / 相互作用 / エライオゾ-ム |
研究概要 |
アリ誘引用のエライオゾ-ムを有するエゾエンゴサク、オドリコソウ、ミヤマエンレイソウ、オオバナノエンレイソウについて、種子を運ぶアリの種類、種子の分散率と分散距離を明らかにし、アリによる種子散布の適応的意義を検討した。まず、種子を運ぶ主なアリは植物の生息環境により多少異なる(エゾエンゴサク:シワクシケアリ、トビイロケアリ、オドリコソウ:アスマオオヅアカアリ、エンレイソウ:シワクシケアリ、ヤマトアシナガアリ)。分散距離はアリの種類によって多少異なるが、2mを越えることは少なく、平均50cm前後であった。分散率は、種子を果実として一括落下させるエンレイソウで約15%であったのに対し、種子を少しずつ落下させるエゾエンゴサクやオドリコソウでは50%以上であった。多くの種子が運ばれなかったのは、歩行性甲虫類やワラジムシによってエライオゾ-ムを食される為であるが、果実は彼らに発見される確率が高いのに対し、少しずつ落下する種子はその確率が低く、このことが種子運搬率の差に反映されているものと思われる。また、アリ巣100について、K.P.N.Cの含有量を測定したところ、いずれの元素も巣の土壌とコントロ-ル土壌間に有意な差は認められず、アリ散布の適応的意義に関して最近有力視されている「アリ巣の富栄養説」は否定される。これに対し、植物固体の分散構造を分析したところ、いずれの植物種においても、種子を生産する親個体周辺よりも、親からやゝ離れた場所において子個体の生存率が高く、「こみ合い回避説」を支持する結果を得た。
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