1.勝ち抜き型競争を示すアカイロマメゾウムシ(Callosobruchus analis)と共倒れ型競争を示すハイイロマメゾウムシ(C.phaseoli)を用い、緑豆(Vigna radiata)を資源とした累代飼育系で種間競争実験を行なった。サイズの大きい緑豆では200日前後でアカイロマメゾウムシが絶滅し、小さい緑豆では200日前後で逆にハイイロマメゾウムシが絶滅した。両サイズの緑豆を等量供給した系では460日以上にわたって両種が共存した。これらの結果は前年度に行なった両種の幼虫期の種内・種間両競争の機構の解析結果からうまく説明することができた。 2.ヨツモンマメゾウムシ(C.maculatus)で勝ち抜き型競争を示す1系統と共倒れ型競争を示す1系統を用いて、両競争型の競争の様式、及び両競争型が個体群動態に及ぼす影響について調べた。勝ち抜き型競争の遺伝的機構について詳細な実験を行なったところ、相加的遺伝子であることが明らかになった。幼虫期の行動を観察したところ、勝ち抜き型系統では幼虫の全期間で激しい攻撃行動が見られ、共倒れ型系統でも幼虫後期においては攻撃行動が見られた。これらの結果は、前年に明らかにされたアカイロマメゾウムシ(幼虫後期で攻撃行動あり)・ハイイロマメゾウムシ(幼虫期での攻撃行動は皆無)での幼虫期攻撃様式とは大きく異なるものであった。 3.ヨツモンマメゾウムシの2つの系統を用いて、1.と同様の実験を行なったところ、個体数動態を指標にすると大きい緑豆では共倒れ型系統が、小さい緑豆では勝ち抜き型系統が大勢を占めた。また両サイズの緑豆を等量供給した系では両系統が共存していることを示す動態が見られた。しかし、それぞれの個体群の遺伝的構成を調べたところ、大きい緑豆の系では共倒れ型に収れんしていたが、その他の豆条件下では勝ち抜き型と共倒れ型のF_1と同等の割合の勝ち抜き型の遺伝子が存在した。
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