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1990 年度 実績報告書

カッコウと宿主の相互進化

研究課題

研究課題/領域番号 01540544
研究機関信州大学

研究代表者

中村 浩志  信州大学, 教育学部, 助教授 (60135118)

キーワード相互進化 / 託卵 / 寄生 / 対抗適応 / 適応 / 進化
研究概要

1.最近日本でオナガへのカッコウの託卵が開始され、各地で急速に広がっていった過程を明らかにし、論文として発表した。また、カッコウの雄は順位制に基ずくなわばり制を確立した社会組織をもつことを論文にした。
2.託卵歴の長さが異なる安曇野、長野、野辺山でのカッコウの剥製を用いたオナガの攻撃性に関する実験から、4年前の結果ど同様託卵歴の長い地域ほど攻撃性が強いこと、また4年前に比べどの地域でも明確にカッコウに対する攻撃性が高まっていることを明らかにすることができた。
3.多数のオオヨシキリを捕獲し、足輪をつけて個体識別した千曲川での調査から、この鳥の卵識別能力は若い個体で低く、年をとった個体ほど高いという昨年明らかにした傾向を、個体レベルで裏付けることができた。
4.オナガへの託卵が急速に広がったのは、オナガが卵識別能力やカッコウへの撃性を十分もっていなかったためであること、またオナガが10年間という短期間にこれらの能力を急速に発達させた結果、オナガへのカッコウの託卵は最近では初期の頃のようにはいかなくなり、両者の関係はダイナミックに変化していることを明らかにし、イギリスの鳥学会誌Ibisに投稿した。また、オオヨシキリの卵識別能力は、学習によっても獲得されることをNature誌に投稿した。
5.昨年9月から11月にかけて、カルフォルニア大学サンタバ-バラ校のRothstein教授の研究室に私費で留学し、論文のまとめと託卵鳥と宿主の相互進化に関する論議をすることができた。
6.Rothstein教授との論議をもとに、今年8月に京都で開かれる国際動物行動学会(IEC)で、“Cocvolution in Brood parasitism"(託卵における相互進化)というテ-マで世界の託卵鳥の主な研究者約10名が参加したラウンド・テ-ブルを主催するとともに、その後長野で同テ-マのシンポジウムと我々のカッコウの調査地の見学を3泊4日で開催することになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Hiroshi NAKAMURA: "Brood Parasitism by the Cuckoo Cuculus canorus in Japan and the Start of New Parasitism on the Azureーwinged Magpie Cyanopica cyana" Japanese Journal of Ornithology. 39. 1-18 (1990)

  • [文献書誌] 中村 浩志・宮沢 良友: "長野県カヤノ平高原におけるカッコウ雄の個体間関係" 信州大学 志賀自然教育研究施設研究業績第27号. 27. 17-27 (1990)

  • [文献書誌] Hiroshi Nakamura,Satoshi Kubota and Reiko Suzuki: "Coevolution between the Cuckoo Cuculus canorus and the Azureーwinged Magpie Cyanopica cyana;Rapid development of egg discurimination by a new host" イギリス鳥学会誌のIbis.

  • [文献書誌] A.Lotem,H.Nakamura & A.Zahavi: "Rejection of cuckoo eggs in relation to host age:a possible evolutionary equilibrium" Nature.

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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