ハナヤサイサンゴの枝間に生息している小動物群集の種類組成とサンゴ群体のサイズの関係を調べた。様々なサイズのサンゴ群体を調査した結果、小動物の種類数及び個体数は群体サイズが大きいほど多く、逆に単位体積(枝間の空間の体積で表示)あたりの種類数、個体数は減少した。種の多様度(H')も大きな群体に生息している群集ほど高かったが、均衡度(J')は群体サイズに関わらず一定であった。 小動物はサンゴとの共生種と非共生種に分けることができる。最初に共生種の種組成について解析を進めた。空間サイズが1.5cm^3の小型群体には共生種は認められなかった。空間サイズが増加するにつれて種組成も変化した。即ち、1.5-12cm^3:1個体のサンゴガニ類かキモガニ、14.5-22.5cm^3:2種類の共生種が採集されたが1種類1個体、23.7-71cm^3:サンゴガニ類かダルマハゼ類の雌雄のペアを含む2種類採集される、74-263cm^3:2あるいは3種類採集され、それぞれ雌雄のペアで出現することが多い、>331cm^3:4種以上(最高は1980cm^3の群体における10種)が出現し複雑な群集が構成されていた。これらの種類組成は共生種間の種内・種間関係によって決定されていることが予想されたので、その関係を明らかにするための実験観察を開始した。 共生種のサイズを測定した。サンゴガニ類とサンゴテポウエビの抱卵雌のサイズは大きなサンゴ群体に生息しているものほど大きく、抱卵数も大であった。卵サイズはサンゴ群体のサイズに関わらず一定であった。 サンゴの群体サイズが様々な形で共生種の生活と関わっていることが明らかになったので、今後、その関わりについて解析し、小動物群集が成立する過程について解明したい。
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