研究概要 |
1.不飽和脂肪酸のシス/トランス異性化酵素が耐冷菌Pseudomonas Eー3株に見出され、その活性は従来研究材料として用いていたVibrio ABEー1株より数10倍高く、かつ安定していることがわかった。 2.Pseudomonas Eー3株の異性化酵素には、遊離脂肪酸を基質とする、細胞質に局在する可溶性タイプとリン脂質を基質とする膜結合性タイプの少なくとも2種類存在することがわかった。膜結合性タイプの酵素活性発現には細胞質に存在するタンパク質の関与が必須であった。 3.両タイプの異性化酵素ともカテコ-ル系の化合物で強く阻害されることから、この物質により同様に阻害を受ける植物のリポキシナ-ゼとの構造上の類似性が示唆されている。 4.両タイプの異性化酵素の精製を試みているが、細胞質に存在する可溶性タイプの酵素は硫安分画、イオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過クロマトグラフィにより約100倍に精製された。ゲルろ過クロマトグラフィによる分子量測定によれば、約90,000である。 5.膜結合性の異性化酵素を活性化する可溶性成分は分子量約20,000のタンパク質である。 今後は更に精製度の高い酵素標品を得て、ティネティクス等・酵素の性質を明らかにしていく。
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