研究概要 |
Vibrio ABEー1株とPsendomonas Eー3株は生育温度上限付近の温度で培養された時、トランス型不飽和脂肪酸である16:1(9t)を16:1(9C)からの異性化により合成する。Pseudomonas Eー3株の無細胞抽出液には、遊離の16:1(9C)を基質とする酵素の活性とホスファチジルエタノ-ルアミンに結合している16:1(9C)を基質とする酵素の活性が存在することがわかった。本研究ではPseudomonas Eー3株の酵素について調査した。 細胞分画により、遊離脂肪酸を基質とする酵素は細胞質に、ホスファチジルエタノ-ルアミンを基質とするものは細胞膜に存在することがわかった。但し後者の活性発現には細胞質成分の共存が必要とされた。 細胞質画分を硫安画分の後、DEAEートヨパ-ル、Butylートヨパ-ル・ゲルろ過の各クロマトグラフィにより、細胞質成分として存在する酵素を約5000倍に精製した。本酵素はSDSーPAGE,native PAGEのいずれによっても2本の主要なタンパク質バンドからなることがわかった。又ゲルろ過により分離された2つのタンパン質の分子量は39,000と41,000であった。これらのタンパク質は単独では16:1(9C)を異性化できず、活性発現のためには両者の共存が必須であった。 精製された本酵素は0℃で最大活性を示し、-20℃でも最大活性の5%を維持するという特異な性質をもつことが明らかとなった。40℃では最大活性の23%が残っていた。炭素数16で、二重結合の位置は△9にある遊離の脂肪酸を基質として利用したが、炭素数(鎖長)、二重結合の位置に関する特異性は厳密なものではなかった。
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